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37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜第2話 「医者も接客業です」

第2話 「医者も接客業です」



 患者とのコミュニケーションを深めようと、
入院患者全員に朝の挨拶回りを始めた祐太(草ナギ剛)。
担当外の患者に薬を処方したことから新見(斎藤工)に
厳重注意を受けて反省はするものの、挨拶回りを
やめようとしない。
 ある日、すず(ミムラ)が祐太の勧めで森下(田辺誠一)の
治療を受けることになった。診察にあたった森下は
治療の不安を取り除こうと丁寧に話を聞き、すずを
安心させる。そんな森下の患者に対する姿勢に、
祐太は尊敬の念を抱くのだった。
 翌日、糖尿病患者の桑原拓真(徳井優)が内科病棟に
入院し、瑞希(水川あさみ)が担当になった。祐太は、
挨拶をしようとさっそく病室を訪ね、不安げな
桑原の相談に乗る。
 ところが、そんな祐太に下田(八乙女光)や谷口(桐山漣)、
新見が苦情を訴える。祐太が挨拶回りで
「何でも相談に乗る」と言ったせいで、患者たちが
研修医に使い走りを頼んだり、病状の悪化を勘ぐったりと、
誤解が生じているというのだ。瑞希からも
「私の患者には近づかないで」と釘を刺されて、祐太は
返す言葉もない。 さらには、森下からも「研修医は
まず仕事を覚えるのが先」と叱咤される。



部屋からでたらちょうど沢村も出るところ。

「あっ おはようございます。」

「どうも。」

「早いですね。」

「検査前のチェックがあるんで。」

「あっ ちょっと一緒に行きましょうよ!

 今日から毎朝 患者さんに挨拶して回ろうと思って。

 コミュニケーションを深めるには

 やっぱり朝の挨拶が基本ですから。」

「採血のときで十分だと思いますけど。」

「それじゃあ 時間が足りませんよ。」

「挨拶って 入院患者全員にですか?」

「ええ。 担当以外の患者さんにも

 名前を覚えてもらったほうがいいと思うんです。

 何か あったときにお役に立てるかもしれませんし。」

「サラリーマンの営業じゃないんだから。」

病院へつくと製薬会社のMRが待ち構えていました。

さっそくその話をする下田と谷口。

「まめだよな。朝から名刺 配りにきて。」

「MRは人脈命っていうからね。

 父さんから聞いたけど情報網 半端ないらしいよ。

 職員と仲良くなって院内のこと 探り 入れまくるって。

 で 有望そうな研修医には

 とりあえず唾つけとくんだってさ。
 
 僕らも それなりに評価されてるんじゃない?」

「ナースの評価のほうが気になるけどなぁ 俺は。

 寛子ちゃん。俺のこと みんな 何か言ってる?」

「いえ べつに。 最近 忙しいんで。」

「無関心かよ。」

「一番注目されてんのは沢村先生らしいよ。

 仕事速いし 判断も的確だから 

先生の評判もいいって。」

「ふ〜ん。 でも 私 外科志望だから。

 それに注目されてるっていったら

 紺野先生のほうじゃない?」

「まさか。」

「逆の意味で。MRから名刺も もらえなかったし。」

「変わりもんだしな あの人。

 今日も挨拶回りとかいって訳わかんねぇ。」

そこへはいってきた祐太はカルテのチェック。

「何か あったんすか?」

「308号室の飯田さん。

 喉に痛みがあるらしいんで 
 
 薬の処方する前に カルテのチェックを。」

「あれ?飯田さんって担当でしたっけ?」

「違いますけど 簡単な処置なんで。」

「いや まずいっすよ。担当の先生か

 当直の先生に言わないと。」

「関係ないですよ 担当がどうとか。

 患者さんにとっては みんな 医者なんですから。」

と祐太は笑顔ですが当然怒られました、
新見先生に。

「関係ないわけないでしょう!

 研修医が1人で それも担当外の患者の処置なんて

 絶対に許されない行為ですよ 紺野先生。」

「申し訳ありません。ミスがないように注意して

 そのうえで必要な処置を素早く行なったほうが

 効率的だと思ったので。」

「効率とか関係ないんですって。」

「まあ 仮に研修医じゃなくても

 担当外の患者への処置はルール違反ですからね。」

と中島先生も注意。

「そうなんですか。」

「そうなんです。

 とにかく今後は注意してください。

 新見先生も今日は これぐらいで ねっ。」

新見先生たちは戻っていきました。

「やっぱ だめだったでしょ?勝手に手 出しちゃ。」

「軽率でした。」

「珍しいですね 素直に反省するの。」

「ええ。 明日からは挨拶と 治療以外のことで

 相談 乗るようにします。」

「してねぇよ 反省。」

ほんとにw

すずから外にいるというメール。

9時・外来患者診察

すずと母親も診察手続き。

「葛城と申します。若林記念病院のほうから

 ご紹介いただいてこちらに

 通院させていただくことになりました。」

「かしこまりました。

お掛けになって お待ちください。」

「あの〜。沢木医院の紹介で来たんですが。」

とやってきた桑原さん。

「紹介状を出して お待ちください。」

すずの担当は森下先生。

「どうぞ。あぁ。たいへん お待たせしました。

 担当の森下です。」

「よろしくお願いします。」

桑原さんは新見先生の診察。

「じゃあ 座ってください。」

森下先生の診察室。

「紹介状 拝見しました。外傷後の慢性腎不全で

 透析を続けておられるんですね。

 今日は まずお話を聞かせてください。

 体調のことでもこれからの治療のことでも

 気になることは何でも結構ですから。

 あっ 大丈夫ですよ。これ 用意しておいたので。」

と文字を書いたり消したりするおもちゃを
みせる先生。

「あっ… 何か ちょっと子供っぽくて

申し訳ないんですけど。」

新見先生の診察室。

「糖尿病のコントロール入院ですね。

 今から いくつか検査 受けてもらいますんで。」

「あの それと私 少し前から

 おなかが痛むときがありまして。」

「胃腸炎とかですかね?

 とりあえず レントゲン撮って

 それから 血液検査ですから。

 じゃあ 一旦 外でお待ちください。」

触診どころか患者の顔も見もしない・・。

「はあ。」

下におりてきた祐太が
桑原さんとぶつかりました。

「あぁ!すいません!」

「あっ あの…。レントゲンの受付はどちらですか?」

「あっ この廊下をまっすぐ行って

 1つ目の角を右に曲がるとありますから。」

「どうも。」

「お大事に。」

待っていたすずのところへいきました。

「ごめん。ちょっと仕事 手間取ってさ。」

『診察 さっき終わったところだから』

「お母さんは?」

『手続きしてくるって。」

「そっか。どうだった? 森下先生。」

『すごくいい先生だった』

「研修医には厳しいのにな あの人。」

『すごく気遣いの出来る先生って感じ

 話も丁寧に聞いてくれて』

回想

『お忙しいのに迷惑じゃないですか』という言葉に

「とんでもありません。

 安心して治療を受けてもらうために

 医師は しっかりと

お話を聞く 義務がありますから。」


と言ってくれた森下先生。

「そういえば習ったな。

 患者の話を遮ったり 

 ちゃんと診察しないで検査に回す医者は
 
 ろくなもんじゃないって。」


新見先生のことかー!

レントゲン室にいった桑原さん。

「今 混んでますから。先に

 血液検査したほうが早いと思いますよ。」

「はあ。あっ… どちらに?」

「あちらです。」

採血室へいきました。

「お願いします。」

「あぁ 先にレントゲン行かれたほうがいいですよ。

 この時間 混んでますから。」

「そうですか。」

待っていると看護師がよびにきました。

「あっ 桑原さん。新見先生がお待ちです。」

「えぇ?あの 私 これから検査が…。」

「入院についてのお話があるそうなので。」

「はあ。」

祐太とすず。

「とにかく良かったよ。スムーズに東央に移れて。」

『祐太さんが紹介してくれたおかげ

 ありがとう』

「声のほうも 心療内科に話

通してもらえるらしいから。」

『病院の帰りに 祐太さんの家にも寄れるしね。』

「怒られるよ お父さんに。」

近くの席に研修医仲間がいました。

「あっ。」

「あっ…。」

「べつに 僕たちのことは 気にしなくてもいいですよ。」

「紹介してくれるんだったら それはそれで喜んで。」

「紹介って…。」

にっこり笑顔で挨拶するすず。

夜は飲みにいく研修医と師長。

「つうか 見直しましたよ紺野先生のこと!

 病気の婚約者さんのために大企業 辞めて

  医者 目指したとかもう 超かっこいいじゃないっすか。

 ははははっ なぁ。」

「そんな大した話じゃないですよ。」

「大した話ですよ。 ねぇ。」

「すてきな話よね ほんと。

 5歳年下の美人な婚約者のために頑張ってるなんて。」

「あれ?何か機嫌 悪いっすよ 師長。

 当たり前みたいに飲み会 参加してんのに。」

「そりゃ にこにこできないでしょ。

 同い年の自分が独身なんだから。」と沢村。

「えっ? 師長 独身なんですか?」

「あのね 薬指に指輪ないからって 

 勝手に判断しないでよ。」

「10年ぐらい前かなぁ。

 友達から 結婚したって話聞いたけど。」

「したわよ 結婚。まあ そのあと別れたけど。」

「やっぱり。」

「やっぱりって何が?」

「あぁ まあまあ まあ…。そういえば彼女さん

 手話 使ってましたけど。」

「はい。 彼女 失声症なんです。」

「失声症?」

「失声症って ストレスとか心因性が原因の?」

「腎不全もですけど きっかけは同じ事故です。

 7年前 2人で山にキャンプに行ったとき

 彼女が斜面から落ちちゃって。」

「脾破裂の出血多量で腎不全…。」

「それで声も…。」

「僕の責任です。

 もう少し早く 病院に連れていければ

 良かったんですけど。」

「まあ でも ほら今は その人のために

 こうやって医者になったわけだから。」

「そういう理由なら

 研修中はおとなしくしとくべきです。」

「わかってるんですけど

 せっかく医者になったんだから

 自分なりの理想もあって。」

「それで研修 ふいにしたら

 つらい思いするのは彼女です。」

「ていうか沢村先生は 医者としての

 こう 理想とかないわけ?」

「そういや おたく 

何で研修先に東央 選んだんだよ。

 帝都大 出てんのに。」

「給料が一番良かったから。

 現実的なんです 私。

 結局 医者なんて

 治せるか治せないかでしかないんだから。

 患者は理想じゃ救えませんよ 紺野先生。

 じゃあ お疲れさまです。」


と帰っていく沢村先生。

「かわいげねぇよな ほんと。」

「まあ すがすがしいっていえば すがすがしいけど。」

「それよりさ 彼女の分また僕のおごり!?」

「おう。」

谷口先生が一番お金持ちらしい。

家に帰った沢村先生。

「ただいま。」

と声をかけたのはたぶん母とうつった写真。

7時30分 総合内科申し送り 

「えぇ〜今日から 

303号室に新規で入る桑原拓真さん。

 えぇ〜 小菅先生と沢村先生に

担当してもらいますんで。」

「あぁ… はい。」

「糖尿病のコントロール入院ですね。」

「うん。 まあ そんなに難しい状態じゃないから。

 隠れ食いと 薬の飲み忘れにだけ注意してください。」

「はい じゃあ 今日もよろしくお願いしま〜す。」

「沢村先生。桑原さんだけど…。」

「え〜っと食事管理と インスリンの適正量だけ

 決めたいと思います。」

その横で「303号室の桑原拓真さん。」と
メモしている祐太。

さっそく桑原さんの部屋にいきました。

「失礼します。 桑原さんですよね。」

「そ… そうですけど。あぁ 担当の先生?」

「いえ 研修医の紺野です。」

「研修医?」

「見えないですよね? 年食ってて。

 今日から入院されると聞いてご挨拶に来たんです。

 担当じゃなくても 患者さん皆さんに

 顔を覚えてもらいたくて。」

「はぁ?」

「入院中 何か困りごとがあったら 何でも言ってください。

 治療のことはそんなにお役に立てませんけど

 それ以外のことなら 何でもご相談に乗れますから。」

「あの〜 私 個室じゃなくて

 大部屋に変えていただくことはできませんか?」

「大部屋は今 満床なんです。」

「あの じゃあ退院は大体 いつごろに?」

「今後の状態にもよりますけど

 糖尿病のコントロール入院は短期ですから

 そんなに長引かないと思いますよ。

 あっ もちろん 合併症には

 気を付けないといけませんけど。」

「そうですか。」

「何か ご心配ごとでも?」

「いえ。」

そこへ沢村先生もやってきました。

「何やってるんですか? 紺野先生。」

「あっ 新しい入院患者さんにちょっと ご挨拶を。」

「必要ないでしょ?担当医じゃないんだから。」

「すいません。

 じゃあ 桑原さんまた 何かありましたら。」

「はぁ〜。担当医の沢村です。よろしくお願いします。」

中島先生と教授。

「今月も ベッド可動 率他の病院からの紹介率

 共にうちがトップです。理事の皆さんも
 
 たいっ… へん お喜びで。」

「うちは 病棟経営のモデルケースだからねぇ。」

「佐伯先生のご尽力のおかげです。

 他はどこもぎりぎりでやっておりますから。」

「もうけを出すなんて簡単なのにねぇ。」

「あっ いえいえ…。」

「大事にしなきゃいけないのは3つだけなんだから。」

「ほう。」

「1つは ベッドコントロール。

 次に 関係各所への根回し。

 そして最後は…。」

そこへノックがして森下先生がやってきました。

「おぉ〜 珍しいねぇ。森下先生が

 呼ばれもしないのに来るなんて。」

「佐伯教授に お話がありまして。」

「おぉ〜 ものものしいな。はははっ…。」

下田先生をよびとめる女性患者。

「あぁ〜 あなた…研修医の先生?」

「あっ はい そうですけど。」

「お通じのお薬 どうも体に合わなくて

 変えてもらいたいんだけど。」

「あっ それ担当の先生じゃないとわからないんで。」

「でも あの何とかっていう研修医の先生

 毎朝 来てくれて 何でも相談に乗るって。」

「はぁ?」

谷口先生には石浜さんが。

「よう にいちゃんよ悪いけど 

 ジュース買ってきてくんねぇか?」

「はっ?」

「オレンジジュース。

喉が渇いちまってしょうがねぇんだよ。」

「あの そういうこと頼まれても ちょっと。」

「お前さんとこの仲間の

 紺野っていうのが 言ってたんだよ。

 何でも相談に乗るって。」

「いや それは 医師としてっていう意味であって。」

「研修医だろ お前。

 そんなもん お前 ぱしりにしか使えねぇだろうが。

 ほら お前も好きなもの飲んでいいから。」

二人は祐太に苦情。

「勘弁してくださいよ 紺野先生。」

「何で僕が ぱしり頼まれなきゃいけないんですか!」

「すいません。 何か いろいろ誤解があったみたいで。」

新見先生もやってきました。

「他の先生方からもクレームが出てますよ。

 担当でもないのに 相談に乗るなんて言ってきたから

 病気が悪化したんじゃないかって

 患者さんが心配してるって。」

「本当ですか…。」

「朝の挨拶回りも金輪際やめてください。

 入院患者は みんな病気を抱えて

 神経質になってるんですよ。」

「すいません。いろいろお話を聞くことで

 安心してもらえればと思ってたんですけど。」

「そういう愚痴やら文句を聞くのは 

ナースの仕事ですよ。

 前にも言ったでしょ

 医者は接客業じゃないって。」


新見先生、注意をして帰りました。

「相変わらずすぎるくらい 相変わらずですね。」

と沢村先生。

「すいませんでした。」

「これ以上 余計なことしないほうが いいですよ。

 医者と患者は 一定の距離を保ったほうが

 お互い楽ですから。

 とりあえず 私の患者には近づかないでください。

 何かあったら即 問題にしますから。」

森下先生に声をかける祐太。

「森下先生。」

「今 帰りか?」

「はい。あの葛城すずのことなんですけど。」

「あぁ 君の婚約者だったな。」

「彼女のことよろしくお願いします。」

「言われるまでもないよ 主治医なんだから。」

「あの それで 状態は?」

「彼女 移植も視野に入れてるのか?」

「家族は その方向で考えてます。

 もちろん 僕も。」

「そうか。いずれにしても治療は長丁場になる。

 家族や周囲のサポートが重要だ。」

「わかってます。」

「しっかりな。」

個室にいる桑原さんは腹部の痛みに苦しみ
ナースコールに手をのばしますが
「合併症には気を付けないといけませんけど。」
という言葉を思い出し
入院が伸びるかもと思い、やめました。

佐伯先生と森下先生。

「検討したんだがね 

 やっぱり あの話は見送らせてもらうことにしたよ。」

「他の科との連携を強化するシステムは

 今後より 必要性を増していきます。

 患者の治療体制の向上を考えた場合にも…。」

「わかるよ。 わかる。

 森下先生の意見はごもっともだ。

 でもね 森下先生

 それうちの利益にならないでしょう。

 また 考えてみるから。貴重な意見 ちょうだいしとくよ。」

「失礼します。」

「腕は いいんだが扱いづらくなってきたねぇ。」

「ええ…。まあ森下先生のご意見も 

 わからなくはないんですが。」

「あぁ この間の話そういえば 途中だったね。

 もうけを出すために大事にしなきゃいけない

 3つのこと。1つは ベッドコントロール。

 次に 関係各所への根回し。」


「さて?」

「患者のためなんてきれい事は言わない。

 これが一番大事だ。」


内科カンファレンスでてきぱきと報告する沢村先生。

「下馬評どおり優秀だねぇ 彼女は。」

と佐伯先生の評判もいい。

「ええ。 研修後は是非 うちに欲しい人材です。」

「ほんと 誰かさんとは大違いですよ。」

と祐太をみて言う新見先生。

「元気ないっすね 紺野先生。」

「朝の挨拶 禁止されちゃいましたから。

 かえって患者さんに迷惑かけちゃって。」

「おとなしくしてたほうがいいですよ もう。」

「今は 何か他にできることを考えています。」

「考えなくていいって。」

沢村先生が桑原さんの診察。

「血糖値は安定していますから

 今後は 薬の飲み忘れだけ注意すれば大丈夫です。」

「あの じゃあ 退院は?」

「それは もう少し様子を見てからですね。

 でも 治療は順調に進んでいるのでご心配なく。」

「はあ。」

「他に何か気になることはありますか?」

「いえ。」

おなかが鳴りました。

「80kcal以下なら 

売店で買い物しても大丈夫ですよ。」

そのあと売店で桑原さんとあう祐太。

「こんにちは 桑原さん。」

「あぁ えっと…。」

「紺野です。 すいませんなかなか 顔見せなくて。」

「いえ…。失礼します。」

「買わないんですか?」

「はあ。」

そこへ通りかかった師長。

「桑原さん どうかした?」

「いや 何か元気ないなと思って。」

「あの人 入院してから 

 誰も お見舞いに来てないのよね。」

「ご家族は?」

「お1人みたいよ。最近 仕事も辞めたらしいし

 親しい友達もいなくて 天涯孤独だって。」

「詳しいね。」

「ひと事じゃないもの37歳独身バツイチには。」

そしてお菓子を買って桑原さんの部屋にいく祐太。

「お邪魔していいですか?

 これ 1人で食べるにはちょっと買い過ぎちゃって。」

お菓子を食べながら話すふたり。

「会社の人員整理に引っ掛かっちゃいましてね。

 新しい仕事もなかなか見つからなくて。

 アルバイトでしのいでたんですけど

 そしたらこんな病気になっちゃって。」

「大変ですね。」

「不景気だからしかたありませんよ。

 それに 体を壊したのは自分が悪いわけですから。」

「病気になるときは 誰でもなるものです。

 そんなふうに考えないほうがいいですよ。」

「それは そうかもしれませんけど。

 病院でよくわからないまま検査受けて

 難しい言葉で説明受けてると

 何だか 叱られてるような気になってきちゃうもんで。

 昔から お医者さんってのがおっかないんです。

 最初に診察してくれた外来の男の先生も

 担当の… あの女の先生もね。

 てきぱきしていらっしゃるから

 私なんかペースについていけなくて。」

「治療に関することは

 質問すれば説明してもらえますから。」

「聞けないですよ。 お忙しいのに

 お時間 取らせたりすると

 嫌な顔されるんじゃないかと思うもんで。

 ふふっ ですから 珍しいです

 紺野先生みたいな方は。」

そのときまたお腹が痛む桑原さん。

「どうしました?」

「いえ 大丈夫ですから。」

「痛むんですか?ちょっと見せてください。」

「いえ いいんです。すぐ 治まりますから。」

「いつからですか?」

「入院する 少し前ですけど。

 でも ほんとに平気ですから。」

「担当の先生 呼んできます。」

「いや… やめてください!

 私は早く退院したいんです。

 これ以上 長引くと 金銭的にも困るんです。」

「桑原さん。」

「大丈夫ですから。」

桑原さんのカルテをみているところを
沢村先生にみつかってしまいました。

「何やってるんですか? 紺野先生。」

「いえちょっと気になることがあって。」

「私の患者には 関わらないように

 言ったはずですけど!」

沢村先生の声をきいて新見先生たちも
やってきました。

「紺野先生 今度は何ですか?」

「桑原さんのカルテを見てたんです。」

「なぜ?紺野先生 説明してください。」と中島先生。

「桑原さんは腹部に痛みを訴えています。

 糖尿病の症状としては 不自然なので

 別の疾病の兆候ではないかと。」

「私は聞いてませんよ そんなこと。」

「断続的なもので すぐに治まるらしいんです。

 それに 桑原さんは早く退院したいみたいなんで。」

「だから 私には黙ってるっていうんですか?」

「名前。」

「はい?」

「桑原さんは 沢村先生の名前も覚えてないんですよ。」

「それが何だっていうんですか?」

「信頼関係が築けてないってことです。

 忙しそうだから 治療のことも聞けないですし

 相談も…。」

「紺野先生 患者の診察は 指導医の先生方も含めて

 責任 持ってやってるんです。

 見落としはないと思いますよ。」

「じゃあ もう一度ちゃんと調べてあげてください。」

「そんなことできるわけないでしょ。

 担当の先生のメンツ丸潰れじゃないですか。」

「メンツって…そんなの関係ないですよ。

 普通の会社ではチェックは二重 三重って

 当たり前のことなんです。

 誰にだって 見落としが起こる可能性はありますし

 原さんの場合は故意で黙ってるわけですから

 ちゃんと調べてあげれば…。」

「いいかげんにしてください!

 私は責任持って仕事してます。

 理想論だけで何もできないあなたに

 そんなこと言われたくありません!」

「沢村先生。」

「紺野先生今回は反省文を提出してください。」

反省文を書かされる祐太。

「内科名物だってよ。ああやって

  定規使って反省文 書かせんの。」

「性根をまっすぐにしろって意味だってさ。」

文字を書くのに定規で線をかいてつなぐなんて
なんと前時代的な!!

「お先に。」と帰っていく沢村先生。

「怖ぁ〜。キレてんなぁ〜 さすがに。」

「はぁ〜 実際 やりづらいよ。

 研修医同士でぎすぎすされちゃうと。」

すずからのメール「今日はまだ仕事?」
というのに息をはく祐太。

桑原さんの病室へよってみようとして
結局中へ入らず帰る沢村先生。
中では桑原さんが痛みをこらえながら
帰る準備を。

帰り道ですずと沢村先生がばったり。
会話するために準備するすずに

「あっ 大丈夫。昔 少しやってたから。」

ととめていっしょに飲みにいきました。

『お驚かせようと思って

 内緒できたら 失敗しました。』

「今日は残業。遅くなりそう。」
という祐太からの返信をみせるすず。

「残業っていうか居残りっていうか。」

『何か やらかしましたか?』

「あの人 昔からあんな感じなんですか?

 一般企業でも 仕事で そんなきれい事

 言ってられないと思うんですけど。」

『昔もそれで悩んでました。

 上司にしかられることも

 多かったみたいですから』

「そんな甘いこと言っていてどうすんだ。」
「でも それでは倉田さんが…。」
「もっと自分のことを考えろ!」


という上司とのやりとりをみていたすず。

「同じなんだ 昔からずっと。」

『同じかどうかはわかりません。

 お医者さんになって

 新しい人生をスタートさせましたから』

「もう少し 利口な生き方したほうが

 いいと思うんですけど。

 あなたのために医者に

なったんだったら 余計ね。」


『私のためって言ってました?』

「7年前の 事故が理由なんでしょ?」

『それは きっかけだけだと思う。

 彼の人生は 彼のものだから
 
 私は理想をおいかけてほしいと

 思っています。

 そういう生き方のほうが

 つらいことは多いと思うけど』


反省文を書き終え
桑原さんのカルテをもう一度みてから
病室へいくと、そこはもぬけのから。
入院台として現金もおいてありました。
あわてて探しにいく祐太。

「どこ行くんですか?こんな時間に。」

「見逃してください。
 
 私 本当にお金に余裕がないんです。」

「そんなこと…。」

「あり金全部 置いてきましたからもう これで。」

しかし痛みで倒れてしまう桑原さん。

「しっかりしてください!

 誰か!誰か いませんか!?

 大丈夫ですか?」

「どうした!?」

森下先生がきてくれました。

「森下先生!患者さんが…。

 糖尿病の患者さんです。

 腹部に断続的な 痛みを訴えていたので

 腹部大動脈瘤破裂の併発ではないかと。」

「外科に連絡してくれ。 早く!」

「はい!」

沢村先生にも連絡がいきました。
会計はすずがしておくからと引き受け
病院に急ぐ沢村先生。

オペ室の前に祐太がいました。

「桑原さんは?」

「手術中です。

 もう少しで手遅れになるとこでした。

 私のせいだって言いたいんですか?

 患者が意図的に隠してたんですよ。私は…。」

「ちゃんと向き合ってればわかります。

 沢村先生の言うとおりだと思います。

 理想だけじゃ患者さんは救えません。

 けど 技術や知識だけで

 理想を持たない医者にも

 患者さんを救うことは

できないと思います。」


バッグを持つ手をぎゅっとにぎりしめる
沢村先生。

翌日。

「何してんすか? 紺野先生。」

「医療費の減免制度について調べてるんです。

 桑原さんが利用できるサービスがあると思うんで。」

「それ 医者の仕事じゃないでしょ。」

そこへやってきた新見先生。

「紺野先生。聞きましたよ 桑原さんのこと。」

「おかげさまで手術は無事に…。」

「当直の先生じゃなく

 わざわざオペ室に電話したそうですね。

 文句 言ってきましたよ。内科が出しゃばるなって。」

「緊急だったので つい。」

「それにしたって非常識でしょうよ。大体 あなたね…。」

そこへ森下先生が助け舟。

「今回は しかたない。

 急いでるときは よくあるミスだ。」

「いや でもですね 森下先生…。」

「桑原さんを最初に診察したのは新見先生だろ。

 そのとき 触診は したのか?」

「はっ?」

「触診していれば 

 大動脈瘤破裂の兆候に気付けたかもしれない。」

「それは…。」

「忙しかったから見落としてしまった。

 違うか?」

「失礼します。」

新見先生、戻っていきました。

「言っとくが ミスはミスだ。

 細かいことでもおろそかにすんなよ。」

と祐太にも注意する森下先生。

桑原さんの病室をたずねる祐太。

「お加減は いかがですか?」

「すいません ご迷惑をおかけしちゃって。」

「そうですよ。 何でも相談に乗るって言ってたのに。

 これ 医療費を減らせる手続きについての書類です。

 良かったら少しご説明していいですか?

 もう 説明してもらいました。」

「えっ?」

同じ書類がおいてありました。

「さっき 持ってきてくれたんです。

 担当の沢村先生が。」


「あぁ ははっ。」

桑原さんも祐太も笑顔。

沢村先生に声をかける祐太。

「沢村先生。」

「何ですか?」

「桑原さんのことありがとうございました。

 僕も これ 用意してたんですけど。」

「担当は私ですから 

余計なことしなくて結構です。」

「そうですね。

 余計なこと以外で頑張ることにします。」

「どういう意味ですか? それ。」

「思いついたんです。

 患者さん皆さんに

 気軽にいつでも相談してもらえる方法。」

名刺を配って歩く祐太。

「何だよ こいつは。」

「名刺です 僕の。

 連絡先も書いてありますから

 何かあったらいつでも連絡してください。

 あっ…ぱしりは ちょっと あれですけど。」

「あんた 俺の担当じゃねぇんだろうに。」

「担当じゃなくても 個人的な相談なら

 いくらでも乗れますから。

 これからは皆さんと積極的に お話 したくて。」

「積極的にって言われてもなぁ。

 え〜っと 紺野先生よ。」

「先生っていうのはいらないですよ。」

「えっ?」

「紺野でいいです。 研修医ですから。」

「あっ… すいません。

 研修医の紺野です。」

他の部屋にも名刺をくばってあるきました。

研修医の部屋。

「名刺って…。」

「また叱られますよ 紺野先生。」

「名前 覚えてもらうには一番 手っとり早いですから。」

「いや でも こないだ

 言われたばっかじゃないですか。

 医者は接客業じゃないって。」

「じゃあ 医者の仕事って何だと思います?」

「そりゃ患者を治療すること。」

「もちろん そうです。

 でも 患者さんが納得して

 治療を受けるためには

 医者の側が ちゃんと向き合って

 わかりやすい説明をしたり

 患者さんに 安心感を与えてあげる必要が

 あると思うんですよ。」


「それって…。」

「接客ですよね。

 患者さんはお客さんなんですから。」


名刺を机のひきだしにしまう沢村先生。

佐伯先生の大名行列に
すれ違う祐太。

「あぁ 紺野先生。これ

 私んとこにも回ってきましたよ。

 変わったことしてるね また。」

「患者さんのお役に立てればと思いまして。」

「立派な心掛けだ。

 私も名刺持ってるんだがね

 ほら 製薬会社やら

 医療機器メーカーやらのMR君にしか

 渡さないもんだから。」

「そうですか。」

「医者が名刺を配る相手は

 患者じゃないんだよ。 紺野先生。」




痛みを隠している桑原さんをもっとよく
みてあげるべきというのは祐太のほうが
正しいんだけど、他の先生の担当患者に
投薬とか、少々やりすぎなんじゃないかと
思う部分も。
二重三重のチェックは必要でも
人の仕事に手を出すみたいなかんじがして。
本来なら沢村先生が気づいて
指導医がチェックするという流れだろうから、
あそこで沢村先生が「じゃあちゃんと調べてみます」
というのが理想的。
それに素直に従うにはそれまでの祐太の行動が
奇抜すぎて反発してしまったからというのもありそう。
あのあと祐太より早く資料をそろえていたのは
さすができる女だと思いました。

名刺配って歩いてみんなに話きいてあげられるほど
研修医は暇じゃないと思うのですが
朝から晩までかけずりまわってるような印象が
あるんだけどそれは昔の話?

今、病院経営は本当にたいへんなので
ある程度利益追求も仕方ない。そのために
患者をないがしろにするのはダメだけど
一応患者の治療は普通におこなわれてはいるし
おおむね問題はない病院にみえます。
ただ客商売なのに検査室たらいまわしだったり
場所がわかりにくかったりあれは変。
地方の古い公立病院でも廊下に
検査室への順路が色別で線ひかれたりして
わかりやすいし患者の事を「様」づけで
よんだりして、生き残るために
もっとサービスいいですよ・・。

斎藤工さんが「診てもらいたくない医者」の典型を
みごとに演じてて、新見先生もだんだん
かわってくれたらなあと期待。




紺野祐太 草なぎ剛
沢村瑞希 水川あさみ
下田健太郎 八乙女 光
谷口篤志  桐山 漣

葛城すず   ミムラ

佐伯毅彦   松平健
森下和明   田辺誠一
新見  悟   斎藤 工
中島  保   鈴木涼介
相澤直美   真飛  聖











2012.04.18 Wednesday 09:36 | comments(0) | trackbacks(3) | 
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37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜 case2:医者も接客業です
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【37歳で医者になった僕 〜研修医純情物語〜】第2話
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《37歳で医者になった僕〜研修医純情物語》☆02
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