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相棒 season11 第8話「棋風」

第8話「棋風」



 勝つのは、人類の頭脳か、コンピューターの人工知能か!?
 注目を集める将棋界の時田名人(竹財輝之助)と
将棋ソフトとの将棋電脳戦が実現した! 世紀の対局を前に、
将棋ソフトの開発者で人工知能研究者の安西(木下政治)が、
研究室で遺体となって発見されてしまう。切れた蛍光灯を
取り換えようとしたときに転落しての事故死と思われたが、
右京(水谷豊)は現場で不審な点を発見し…。

 将棋連盟会長・曾根崎(園田裕久)は、時田名人が
コンピューターに負けてしまうのではないかと恐れていたとして
容疑者として浮上。が、曾根崎は新聞社主催のパーティーに
出席していたと写真を見せ、伊丹(川原和久)らに
アリバイを主張するのだが…



将棋の名人と人工知能との対決。
実況つきで中継。

「将棋電脳戦田辺龍馬とMETiS靴寮錣い

 いよいよ大詰めを迎えています。

 勝つのは人間の頭脳なのか?

 それとも人工知能なのか!?」

みまもるのは開発者の安西先生と助手の須藤。
指示を出しているのは篠田彩子。

角田ささんや右京さんも見守る中
米沢さんもやってきました。

将棋連盟会長といっしょにみているのは時田名人。

「さすが龍馬だ。 時田くんどうやら君の出る幕はないねぇ。」

「龍馬 負けますよ。」

みまもる米沢さんたちもハラハラ。

「人間がコンピューターごときに

 負けるわけないじゃないですか。」とカイトくんがいえば

「チェスの世界では随分前に

 世界チャンピオンがコンピューターに敗れていますからねぇ。」

と右京さん。

「あんた なんか嬉しそうだね。

 どっちの味方よ?」

「私はあくまでも人間を応援します。

 ただでなくても最近コンピューターに

 こき使われてるような気がしてしょうがないです。

 龍馬! 頑張れ!」

米沢さんw

だけどMETiSIIIの勝利。

「人間負けちゃった。」

「科学の進歩もついに ここまできましたか。」

「やっぱりそっち側か。」

「まだ人類が負けたというわけではありません。

 将棋の世界には 時田名人という
 
 天才がいますから。」

インタビューをうける安西先生。

「安西教授。次はいよいよ時田名人との戦いですね」

「名人と対決する日は コンピューターが

 人類を凌駕する歴史的な日になるでしょう」

「自信満々ですね。

 曾根崎会長 もちろん受けて立ちますよね?」

 「まあ ここまできたら やらざるを得ないでしょう」

京南大学。
須藤が研究室に入ると倒れている安西先生を発見。
安西先生は死んでいました。

警察の検証。

「死亡したのは安西由典さん46歳です。

 ここの大学の教授です。

 死因は脳挫傷 死亡推定時刻は
 
 昨日の午後2時から5時といったとこでしょうか。

 後頭部に傷がありここに血痕が付着してました。」

「あれ?安西教授って確か…。」

「ええ 先週将棋電脳戦で龍馬に勝った

 人工知能の開発者です。」
「ね!」

右京さんとカイトくんもやってきました。
伊丹さんたちが

「事件性はなさそうだな。」

「その椅子をこの机の上にのせたんだよ。」

「って事は 我々の出番じゃなかったって事ですね。」

と話しているところに登場。

「残念ですねぇ。」

「ああ もう また来た…。」

「困りますね警部殿。」

「すいません 言っても聞かないもんで。」

「安西教授の人工知能の研究には

 僕も少しばかり興味があったものですからねぇ。

  先日の龍馬戦も実に見事な戦いでした。」

「もう その話はいいですよ 知らないし。」

「蛍光灯が切れたままですねぇ。

 という事はこの粉々に砕け散ったのは

 新しい蛍光灯という事になりますねぇ。

 これですね。ふん… 」

「うん? それが何か?」

「つまり安西教授は このテーブルの上に

 この椅子をのせ蛍光灯を取り替えるために

 上にのり バランスを崩し蛍光灯を持ったまま

 ひっくり返りここに頭を打ち付けて倒れ込んだ。

  …と まあ皆さんそうお考えでしょうね。」

「ええ。」

「ですが だとすると いささか妙ではありませんか?」

「妙とは?蛍光灯を取り替えるには

 まず 古い蛍光灯を取り外さなければなりませんねぇ。」

「ええ。」

「それには両手が必要です。

 なぜ安西教授は 新しい蛍光灯を持ったまま

 この椅子の上にのったのでしょう?

  両手が使えませんよ?」

「うん… ん?つい うっかりとじゃないですか?」

「安西教授は プロの棋士に勝つほどの

 プログラムを作り上げた人物ですからねぇ。」

「…何か?」

「うっかりしますかねぇ。

  いえいえいえ…。 ちょっと失礼。
 
  あっ これを。」

テーブルをもちあげさせました。

「えっ?」

テーブルの脚の下には蛍光灯の割れた破片。

「あっ テーブルの脚の下にも!」

「おっ こっちも!」

「という事は? カイトくん。」

「蛍光灯が 割られたあとに テーブルが動かされた…。」

「 つまり 現場が偽装された可能性が出てきましたね。」

「って事は… 殺しって事か!?」

須藤さんと彩子に話をききました。

「普段 ここに自由に出入り出来る人物は?」

「ああ…。大学の関係者やAI学会の人

 それから将棋連盟の人たちが時々来ます。

 でも昨日は 特に来客の予定はありませんでした。」

「あれ?これ なんだろう?」

とソファについた汚れをみつけるカイトくん。

「ああ… なんかの粉のようですな。

 あとで調べておきましょう。」

「はい。」

右京さんも二人に質問。

「ちょっとよろしいですか?」

「あ… はい。 なんでしょうか…。」

「こちらの将棋盤ですが 指しかけのようですねぇ。」

「警部殿 ちょっと邪魔しないで頂けますか。」

「すぐに済みます。 どなたが?」

「あ… これは僕と安西先生が土曜日に 

 指していたものです。」

「お二人は よく将棋を?」

「あの… 3人でやってるんです。

 一応 将棋ソフトを作っているので

 研究も兼ねてやってみようと。」

続きは また今度、と途中になった将棋盤。

「土曜日は僕と安西先生が指していて

 この僕の王手で終わりました。」

「つまり この将棋盤は土曜日のままという事ですね?」

「はい。」

「ああ そうですか そうですか。」

携帯のカメラで撮影。

「ここに へこみがありますね。新しい傷のようですが…。」

「あ〜… 気づかなかったなぁ。

 あっ それが何か?」

「いえいえ細かい事が気になってしまう 僕の悪い癖です。」

米沢さんまで質問を。

「あの… ずっと気になってたんですけども

 プロ棋士に勝つソフトを作るぐらいですから

 皆さん相当な腕前なんでしょうな。」

「おい お前まで何聞いてんだよ!」

「とんでもない。 僕たち3人とも

 初心者に毛が生えた程度ですから。」

「私たちが将棋に強い必要はないんです。

 METiS靴錬栄担屬法。牽伊手 読む事が出来ます。」

「1秒間に80万手?」

「それは すごいですね。」

「そんなコンピューターが相手なら

 将棋界の人たちも相当ビビってたんじゃないっすか?」

「曾根崎会長もまさか ここまで強くなるなんて

 思ってなかったでしょう。

 もちろん時田名人だって 内心は やりたくないはずです。」

「まずは 将棋関係者あたるか。」

「どうも。」「どうも。」

「どうも。」「どうも?」

「ああ…。ついてこないでくださいよ。」

と伊丹さんが言い残して帰っていきました。

「どうします?釘刺されちゃいましたけど…。」

「では我々は 一手先を行くとしましょうか。」

伊丹さんたたちは将棋連盟の会長宅へ。

「曾根崎さん 昨日の午後2時から5時までの間どこで何を?」

「その時間なら 帝都新聞主催のパーティーに出ていました。

 確か写真があったな。」

「はい。」

写真をみせる会長。

「このデータお借り出来ますか?」

「どうぞ。」

「ちなみに電脳戦なんですが

 出来れば やりたくなかったななんて事は…?」

「そんな事ありませんよ。そもそも電脳戦は

 将棋連盟とコンピューター将棋ソサエティーが

 協力をして 進めてきたんです。」

「しかし相手が強くなりすぎた。

 この上 時田名人が敗れたら 将棋界は立つ瀬がなくなる。」

「だから私が殺したとでも?

 さっき言ったはずです。

 私はその時刻パーティーに出ていたんです。」

次は時田名人。

「時田さん 警視庁の者です。お話を伺いたいんです」

「どうぞ お入りください。」

応答したのはカイトくん。

「えっ? この声…。」

「カイト!?」

「お邪魔しますよ。」

「失礼します。」

「どうも。」

「なんでいんだよ〜?」

「ついて来るなって言われたんで こっちに…。」

「邪魔すんなって事だよ〜。」

「へい。」

名人は将棋盤の前で坐っていました。

「何やってるんですか?」

「頭の中で将棋を打っているようですよ。」

「この筋は負けか。 フフ…。」

「名人…。」

「あっ…。ここは 俺に任せてもらえませんかね?

 ずっと待ってたんで。」

というカイトくんに

「いんじゃない?」という芹沢さん。

「はっ!?」

「ありがとうございます。」

「時田名人。 京南大学の安西教授が亡くなりました。

 事件の可能性もあるので

 少しお話聞かせてもらえますか?」

「どうぞ。」

「昨日の午後2時から 5時まで どこで何をしてましたか?」

「昨日は1日 ここにいました。」

「それを証明出来るものは?」

「ありません。昨日の午後2時から5時まで

 どこで何をしていたか 証明出来ない人って

 東京に何人くらいいると思います?」

「えっ?」

「それ みんな被疑者って事かな?」

「はいはいはい。 見習いはここまで。

 あとはうちが引き取るから。ほら。」


伊丹さんたちがでていきました。

「名人 あなた龍馬を敗った人工知能と
 
 対局する予定でしたよね?」

「ええ。」

「将棋界としては絶対に負けられない。

 名人としても 相当なプレッシャーが

 あったんじゃないですか?」

「フッ…。それが怖くて殺した。

 そんな事してたら 将棋界はみんな殺されて

 誰もいなくなりますよ。」

立ち上がる名人。

「ちょ… ちょっとどこ行くんですか?」

「お茶をいれるんです。」

「お茶なんて結構ですから。」

「自分が飲むんです。」

「ちょっと待った。

 お説ごもっとも。しかし ここはひとつ

 場所を変えて お話を伺うわけにはいきませんか?」

「どこでも うかがいますよ。」

将棋会館に話をききにきたふたり。

「時田名人はひと言で言えば将棋界の宝です。

 5年前に 将棋界の7大タイトルを制覇しました。」

「不可思議流というのは

 名人らしいニックネームですねぇ。」

「ああ… 掴みどころのない棋風で

 相手は いつの間にか負かされてしまうようです。」

「こちらが奨励会時代の昇段表ですよね。」

「ええ。 10年かかるのが普通と言われる奨励会を

 わずか2年半で駆け抜けてしまったんですから。」

「え〜 本当にすごいんだ。

  あっ 年も俺と変わんない…。」

「おや こちらは女性の方ですねぇ。」

「ええ 坂口彩子。

 当時は 初めての女性棋士誕生かと

 随分期待された子でした。」

「女性の棋士っていないんですか?」

「女性には 女流棋士という別の制度があるんです。」

「この坂口彩子さんという方

 時田名人とほぼ同時に昇段しています。

 これはすごい事ですよ。」

「坂口くんは 女流枠ではなく 

 あくまで正式な棋士を目指していました。

 負けを恐れない大胆な将棋でしたけど
 
 いつの間にか消えてしまいましたね。

 ああ この子です。」

写真をみせてもらいました。

「どうも。」

「まだ 高校生でした。」

彩子・・でした。

研究室にやってきたふたり。

「お仕事中すみませんねぇ。」

「ああ いえちょうどひと段落したところでしたから。」

「お見受けしたところ こちらでは

 将棋ソフトとはまた 別の研究をなさっているようですねぇ。」

「ええ 人工知能の研究は 多岐にわたるんです。

 安西教授はそれらを統括する立場でした。」

「ああ そうでしたか。」

「あ…。 で 今日は…?」

「少しお話を伺いたいんですが…。」

将棋会館にあった冊子の彩子の写真をみせました。

「この事は 須藤さんも安西教授も知りませんよね?

 どうして 奨励会にいた過去を隠してたんですか?」

「棋士になれなかった事は まだ10代だった私には

 大きな挫折でしたから。それに私が将棋をやめてすぐ

 両親が離婚して 名字も変わったので

 そこから新しい人生を始めたかったんです。」

「それで大学に入り そのまま研究員になられた。」

「ええ。でも 忘れたい過去なら どうしてまた将棋の研究を?」

「それは師事していた安西先生が

 将棋ソフトの開発を始めたからです。

  それに 私たちは 将棋の研究をしているつもりはありません。

 あくまで人工知能の研究です。

 将棋の手の数がこの宇宙に存在する

 粒子の数よりも多いってご存じですか?」

「宇宙の粒子の数より多い?」

「そんな中 人間はどうやって答えに近づいていくのか…。

 まだまだ謎だらけの 人間の思考回路を研究しているんです。

 人工知能は今後色んな分野で応用されて

 人々の生活を劇的に変えていくはずです。

 電脳戦はその基礎研究の成果を試す

 絶好の機会なんです。」

「素晴らしい研究ですね。」

「あ…。 もうそろそろよろしいですか?」

「すみません すっかり邪魔をしてしまいました。」

「いえ…。 それでは。」

「あ… 最後にひとつだけよろしいですか?」

「え?」

「あなたは今 電脳戦は絶好の機会なんですと

 現在形でおっしゃいました。

 ひょっとして 電脳戦は

 予定通りお続けになるつもりでしょうか?」

「出来ればやりたいと思っています。

 亡くなった安西先生のためにも
 
 人工知能の研究を止めたくないんです。」

「なるほど。失礼します。」

取り調べをうけている名人。

「名人。あなた 一昨日の午後2時過ぎ

 外出してるじゃないですか。」

「マンションの駐車場の防犯カメラに

 ちゃんと写ってるんですよ!」

「ああ… 間違えました。

 一昨日は気晴らしにドライブに出かけたんだった。」

「ドライブって…そんな言い訳が通用すると…。」

そこへ入ってきた右京さんとカイトくん。

「警部殿。今 大事な…。」

「1分だけ。」

「1分でいいんすか?」

「1分だけですよ。」

「どうもありがとう。

 坂口彩子さん ご存じですね?」

「坂口…? さあ 誰でしたか…。」

「あれ? 記憶にありませんか?おかしいっすね。

 あなたが念願の棋士への昇格を決めた 

 一局を指した相手。

 忘れるはずありませんよね?」

「ああ そうでした。彼女がどうかしましたか?」

「坂口彩子さん今は篠田彩子さんといいますが

 亡くなった安西教授のもとで

 人工知能の研究に携わっています。

 つまり電脳戦であなたと戦うはずでした。」

「彼女とあなた なんか因縁でも?」

「1分経ちましたよ。」

「えっ?」

「本当だよ。

  棋士は1分将棋に慣れてるんで

 時計がなくても正確に1分がわかるんです。」

「あ… ちょっと待ってください…。」

「だ そうですよ。

  さ 出てってください。」

「行きましょう。

 お邪魔しました。」

出て行くふたり。

「絶対に知っててとぼけてましたよ 坂口彩子の事。」

「ええ 12年前の対局は 

 単なる対局ではなかったのかもしれませんねぇ。」

警察に文句をつけてきた将棋会長。

「はい あの少々お待ちください。」

「誰だ?」

「将棋連盟の曾根崎会長です。

 名人を確たる理由もなく拘束するとは言語道断などと…。

 いかが致しましょうか?」

「馬鹿者!圧力に屈する警察ではない。」

いや… しかし曾根崎会長は教育委員も務めており

 政界にも顔のきく人物だったかと…。

あっ 警視総監ともゴルフ仲間だったはず…。」

「帰せ。」

「は?」

「確たる証拠もないのに

 善良な市民を これ以上拘束するわけにはいかん!

 すぐに帰せ。」

ひどい・・。

彩子の知人に話をききにいくふたり。

「12年前の対局?」

「奨励会で坂口彩子さんの同期でしたよね?」

「何か知ってるんじゃないかと思いまして。」

「彩子は 女性棋士第1号になっていたはずです。

 あの時 あんな事がなければ…。」

「というと?」

「彩子が棋士になれなかったのは

 時田さんが仕掛けた

 卑劣な盤外戦術のせいだったんです。」

「よろしければお話を聞かせて頂けますか?」

話をきいたあとまた彩子のところへ。

「刑事さん…。今日は なんでしょう?

安西先生があんな事になってしまって

 今 色々と忙しいんです。電脳戦の準備もありますし。」

「どうやら電脳戦は開催されるようですねぇ。」

「ええ。 将棋連盟からも了承を得られましたから。

 これで 研究の成果の全てを お見せする事が出来ます。」

「実は あなたがそれほどまでに

 時田名人との対決にこだわっている理由が

 わかったんです。」

「…え?」

「12年前 当時 17歳だったあなたは

 将棋会館の近くの喫茶店で

 アルバイトをしていた山口という男と交際してましたよね。

 ところが時田さんとの対局の直前

 その彼から突然 別れを切り出された。

 それに動揺してか あなたは時田名人との対局に負け

 そのまま ずるずると 将棋界を去る事になった。」

「そんな話 どこで…。」

「そして 今から3年前 その山口という男と
 
 あなたは偶然に再会した。」

「あの時は 悪かったな。

 俺は別れたくなかったんだけどさ…。」

「え…?じゃあ なんで?」

「マスターに別れろって言われたから 仕方なくさ…。

 あっ でもマスターも将棋界のホープに頼まれたんじゃ

 断れなかったんだよ。」

「どういう事!?」

「時田だよ。

 今 名人になってる時田。

 あいつがマスターに頼んだんだ。

 俺と君を別れさせてくれって。」

回想終わり。

「今度の対決は あなたにとって

 12年前のリベンジなんじゃないんですか?」

「そんな昔の話をするなんて…。

 もしかして… 私が安西先生を殺したとでも

 思ってるんですか?

 ハッ… 安西先生と私はこの3年間

 名人を倒すという同じ思いでやってきたんです。

 なのに… 私が どうして

 先生を殺さなければいけないんですか?

 これから 電脳戦の準備で

 人と会わなければならないので失礼します。」

「最後にひとつだけ よろしいですか?」

「また それですか…。

 なんでしょう?」

「こちら。

 ここに置かれているこれなんですが なんでしょう?」

「それは 安西先生が大学で使っていた備品です。

 別のルームで使うので 仕分けしてあるんだと思います。」

「ああ… なるほど。

 では 参りましょうか。」

「はい。」

「失礼します。」「失礼します。」

いったん帰るふりをして彩子が帰ったあと
また中へ。

「杉下さん ダメですよ。」

「ある ある ある ある ある あるない ない ない。

 ある ある ある。

  ない ない ない。ない ない。

 ない。」

「何がですか?」

「ない ない。」

「え?」

「あるのとないのがありますね。」

「んー 何があって ないんですか?」

「シールですよ。」

「シール?」

「シール。

 もしかすると…動機がわかるかもしれませんねぇ。」

「 え?」

一方、芹沢さんたちにも新情報。

「例のソファーについていたオレンジ色の粉

 カティーナっていうユリの花粉だそうです。」

「ユリ…?って事は あいつか!?」

「クソッ… 行くぞ!」

会長にみせられた写真には
パーテー会場にかざられた花もうつっていました。

「現場のソファーについていた この粉
 
 カティーナというユリの花粉だそうです。」

「パーティー会場にもありましたよね? このユリ。」

「確かに あの日安西教授に会いに大学へ行った。

 それは認めます!

 しかし 私は殺してなどいない。」

「だったら なぜ 最初からそう言わなかったんです?」

「やましい事があるんじゃないですか?」

「伊丹さん。」

またまた二人がやってきました。

「警部殿…。」

「少しよろしいですか?」

「少しって…。」

「ちょっとだけ お時間拝借。」

「また長くなるんじゃないですか。」

「失礼します。」

「曾根崎会長 大学へはお金の受け渡しに行った。

 違いますか?」

「か… 金?」

「ええ。」

「なんの話ですか?」

「安西教授は人工知能の研究にかかる研究費について

 とてもご苦労されていたようですねぇ。

 京南大学の人工知能研究ルームでは
 
 研究費で購入したものについては

 全て このような備品シールが貼られてありました。

 ところがこのシールの貼られていないパソコンや

 その他の機材がかなりたくさん存在していました。

 備品ではないという事はつまり

  個人で購入したという事になりますねぇ。

  調べさせて頂きました。

 想像どおり 安西教授の貯金は すでに底をついていました。

 まさに 私財を投げ打って

 研究を続けていたわけですねぇ。

 一方 将棋界は この電脳戦は

 絶対に負ける事の出来ない勝負です。

  この一見すると 相対する両者の利害を

 一致させる方法が1つだけあるんですよ。

 裏取引です。」

「裏取引?」

「ええ。曾根崎会長 安西教授は あなたに

 人工知能研究の研究資金を提供するように

 迫っていたのではありませんか?

 電脳戦でわざと負ける事を条件に。」

「わたくしはコンピューター将棋と将棋界は

 共存共栄出来ると信じてた。」

回想。

「2000万!?」

「間違いなく名人も同じ結果になる。

  フッ… そうなったら将棋界も困るでしょ?

 悪い話ではないと思いますが。

 次の日曜日は 研究室に私しかいません。

 お待ちしていますよ。」

「仕方ないと思った。

 私は金を用意しパーティーを抜け出した。」

「フッ…来て頂けると信じていました。」

そのときソファに花粉がつきました。

将棋盤に目がいく会長。

「研究員と時々 指してるんです。」

「こんな将棋しか指せない連中に…。」

と駒を動かす会長。

「え?なるほど。 逆王手。」

「聞かなかった事にしましょう。

  あの話は なしという事です。」

「それでいいんですか?

 どうあがいても 名人はMETiS靴砲肋,討泙擦鵑茵」

「そんな事になれば 一番困るのは あなたじゃ…。」

「失礼するよ。」

「電脳戦当日名人が投了する直前まで

 取引は有効です。いつでも合図をください。

 その時点で METiS靴防蕕韻觴蠅鮖悗気擦泙后」

回想おわり。

「それだけです。私は安西を殺してはいない。」

「そんな言い訳が通用するとでも思ってんのかよ!?」

「曾根崎会長 

 今 駒を1つ動かしたとおっしゃいましたねぇ。」

「そうですが?」

「ひとつ 見て頂きたいものがあるのですが。」

という右京さん。

そして電脳戦がはじまりました。

「将棋電脳戦最終局がいよいよ始まりました」

「果たして 人工知能が人間の頭脳を超えるのか?」

「それとも 名人は踏みとどまるのでしょうか?」

また見守る米沢さんたち。

「おいおい やばいみたいじゃないの? 名人。」

「私は信じてます。名人は 負けません。」

指示のまま打つMETiSIII。

予定と違う指示を出す彩花。

「時田名人 熟考の構え」

会長に耳打ちする職員。

「とりあえず そのままにしておけ。」

「先手 5二歩成」

「5七角成。」

「同 金。」

「後手 同金」

 「時田名人 METiSIII お互い一歩も引きません」

 「熱い攻防になってきましたね」

 「そうですね。どちらに流れが向くか

 予断を許さない状況です」

 「後手 2四玉」

 「先手 2五金」

 「名人 2五金」

 「METiSIII どう返す?」

「負けました。」

「世紀の対局についに決着がつきました!」

「見事 名人がコンピューターの挑戦を退けました」

「さすがは時田名人見事な差し回しでしたね」

米沢さん大喜び!!

「あなたを信じてました!時田名人! ハーハハッ!

 やったー! フフ〜ッ!」

「喜びすぎだろう…。」

彩花の部屋にいくふたり。

「残念でしたねぇ。

 この3年間あなたがこの対局のために

 どれほどの犠牲を払ってきたのか 察するに余りあります。

 しかも 払った犠牲は それだけじゃありませんでした。

 この対局のために

  あなたは 安西教授まで殺してしまったのですから。」

「何か証拠でも?」

「将棋盤です。」

「将棋盤?」

「犯行現場にあったあの差しかけの将棋盤には

 まだ新しい傷がついていました。

 しかし 須藤さんは傷の事は覚えがなかった。

 という事はあの傷は 犯行現場で
 
 なんらかの理由でついた事になります。

 あくまで事故に見せかけたかった犯人は

 慌てて駒を全て元の位置に戻した。

  そんな事が出来るのって一度見た盤面を記憶し

 再現出来る人物だけです。」

「つまり 棋士か あるいは それに近い能力を持つ人物…。」

「私なら 当てはまりますね。」

「ええ。」

「杉下さん ひとつお聞きしてもよろしいですか?」

「どうぞ。」

「どうして 盤の傷が

 犯行時に出来たものだと言い切れるんですか?」

「事件の直前 曾根崎会長があの部屋を訪れていました。

 その時…。

 駒を1つ動かしたんです。」

写真をみせる右京さん。

「この盤面を 曾根崎会長に見て頂きました。

  あなたは それを知らずに

 土曜日の状態に駒を全て戻してしまったんですよ。

 なおかつ駒を1つ動かした時

 盤に傷などはなかったと曾根崎会長は おっしゃってました。

 あなたの質問のお答えはこれでよろしいですか?」

「ええ。十分です。

 時田が許せなかったんです。

 自分が棋士になるために

 汚い盤外戦術を仕掛け私を陥れた あの男が…。」

回想。

「今度こそ負けません。

 私はあなたとは違う。

  正々堂々戦って あなたに勝ちます!」

と時田に言った彩子。

「もうすぐ 時田を私の目の前にひざまずかせる事が出来る。

 そう確信していた。

 なのに…。」

安西先生と会長の会話をきいてしまった彩花。

「その時点で METiS靴防蕕韻觴蠅鮖悗気擦泙后」

「わざと負けるつもりなんですか?」

「仕方がないんだよ。研究費が足りないんだ。

 このままでは 人工知能の研究が立ち行かなくなる。」

「そんな事させません!

 もしどうしてもするというのなら 

 全てを表沙汰にします。失礼します。」

「待ちなさい!

 なぜ わからない?

 我々の最終目的は将棋に勝つ事ではないだろう。

 人工知能の研究を成功させる事だろう!

 そのためには多額の資金がいる。

  この取引はそのために必要なんだ。

 これが両者にとって最善の道なんだよ!」

「私は この対局のために全てをかけてきたんです!」

「いい加減にしろ!

 君には もうこの研究から外れてもらう!

 今すぐ出て行け!出て行け!」

「嫌です! やめません!嫌です!」

「警備員に来てもらう。」

「先生 やめてください!」

「離せ!」

「やめてください!」

「離しなさい!」

「やめてー!」

もみあううちに安西先生が
頭を打ちたおれてしまいました。

「ああーっ!」

「あっ…!先生…?先生?」

偽装工作をした彩子。

回想おわり。


「でも 結局 復讐を果たす事は出来ませんでしたね。

 あなたが全てをかけたコンピューターも

 時田名人には勝てなかった。」

「それは違います。

 48手目あの手は私の手だったんです。

 あの時 時田を前にして 

 私は どうしても自分の手で

 打ち負かしたいという思いを抑えきれなくなった。

 ハハッ…。

 コンピューターだったら

 絶対にしないバカな行為ですよね。

 でも…。

 後悔はしていません。

  行きましょう。」

「最後にひとつだけよろしいですか?」

「まだ何か?」

「こちらにお邪魔する前に あなたの元恋人

  山口さんがアルバイトをしていた

 喫茶店のマスターにお会いしてきました。

 12年前に何があったのか 真相がわかりました。」

山口が他の女性といっしょの写真をみせ
マスターに話をしている時田。

「その人 奨励会の坂口彩子とも付き合ってるの

 知ってますよね?」

「ああ。」

「別れるように言ってもらえませんか?」

「そうだな わかった。でも どうして君が?

 これ 撮るの大変だっただろう?」

「あの子が弱くなると

 僕 おもしろくないんですよね。」



「ただし 時田さんはこう言ったそうです。

  別れ話は 三段リーグの最終局

 つまり 自分との対局が終わってからにしてほしいと。

 ええ もちろん あなたを動揺させないためにでしょう。

 ところが 対局は接戦となり

 勝負は翌日に持ち越されました。

 山口さんは それを知らずに

 あなたに別れのメールを

 送ってしまったんです。

 あの時 時田さんは

 あなたを蹴落とそうとしたのではなく

 むしろ あなたを終生のライバルと認め

 ともに将棋界を歩んでいきたい

 そんなふうに

 思っていたんじゃありませんかねぇ。」


それをきいて泣き出す彩子。

名人にたずねる右京さん。

「ひとつ よろしいですか?」

「なんでしょう?」

「これは個人的な興味なのですが

 48手目

 あれが彼女の手だったという事を

 名人はご存じだったのでしょうか?」


「あの手を見て

 懐かしい気持ちになりました。」


「懐かしい?」

「彼女の将棋が

 好きだったんですよ。

 1つ間違えれば

 負けるかもしれない場面でも

 怯む事なく

 踏み込んでくるそんな棋風が。」


花の里

「将棋には 棋風というものがあり

 指す人の癖やこだわり信念が表れる。

 棋譜を見ただけで誰が指したか

 将棋がわかると聞いた事があります。」

「へぇー。

 それこそ コンピューターにはないものなんでしょうね。」

「そうですねぇ。

 彼女の場合 相手が誰であろうと

 真っ向から勝負する棋風でした。

  その意味では彼女は 自らの棋風から

 逃れられなかったのでしょうねぇ。」

「選択肢は粒子の数ほどあっても

 結局は 自分の生き方でしか

 生きられない…。」


「そして その生き方が 安西教授

 そして 自らをも不幸にしてしまいました。」

「なんだか 残念ですね。」

「カイトくん 君 日本酒は?」

「あっ 頂きます。」

「どうぞ。」

「すいません。」

「どうも。」





なんとも悲しいすれ違いが生んだ悲劇。
そもそも人に別れるように言われて
あっさり別れるってどうなの。
将棋をさしたらその人がわかるとのことですが
彩花は若過ぎて時田の真意には
気づかけなかったのか
そこまでの力もなかったのか
ああいうことがなければ
その後いいライバルになってただろうに。

結局安西先生は事故なんだし
そのあと隠ぺいしてたのはまずいけど
そこまでひどいことにならないといいな。

結局取引に応じなかった会長はご立派。

カイトくんはもうすっかり相棒として
なじんでて息もぴったり。
そしてやっぱりトリオにかわいがられているw


相棒パン


相棒パン買いました(^o^)
ミルクティークリームとレモンティーゼリー



2012.12.06 Thursday 08:12 | comments(0) | trackbacks(5) | 
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