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失恋ショコラティエ 第10話

第10話



『何で この女 俺のベッドで 寝てるんだろう?

 俺のこと 好きでもないくせに

 違う。そんなこと 思っちゃ駄目だ

 きっと 俺のこと好きなんだって

 この先のことも 色々悩んでるんだって

信じなきゃ

 信じる?』

二人で暮らす部屋をネットでさがしながらも
迷う爽太。


「くわしく」とだけかかれた関谷さんからのメールをみながら
溜息をついて出勤してきた薫子さん。
紗絵子さんがショーケースをふいていました。

「ハァー。」

「拭き拭き。しゅっ しゅっ。拭き拭き。拭き拭き 拭き…。

 おはようございます。」

「おはようございます。

 そんなことしなくて いいですよ。

 紗絵子さんはお客さんなんだから。」

「いえいえ。 居候の身ですから気にしないでください。

 拭き拭き。拭き拭き。 拭き拭き。」

まつりの言葉を思い出す薫子さん。

『やっぱ 恋 多き女の先輩って頼りになりますよね』

「拭き拭き。 拭き拭き 拭き拭き拭き拭き。 しゅっ しゅっ。

 拭き拭き。 拭き拭…。」

「紗絵子さんなら 4文字で返された メール

 何て 返信します?

 2カ月以上も 放置した上に返信が これだけですよ?

 腹立ちますよねぇ。」

「2月から 3月にかけて すごく 忙しい 職種の人とか?」

「えっ!?あっ。 うん。 そうですね。」

「わりと 若くて 

 あんまり おしゃべりしないタイプの人だったり?」

「あっ。 はい。」

『なぜ 分かる? 占い師か!?』

「たぶん 最近 忙しさも 落ち着いてきて

 「あっ。 そういえば」って感じで返事くれたのかも。」

「ああ。」

「「くわしく」って 薫子さんどんなメール 送ったんですか?」

「えっ? あっ。 うん? あっ。それは。 」

《「爽太くんは人妻を あきらめて加藤えれなと

  正式に向き合うと 言っています」》

「あのう。」

「うん?」

「あっ。 共通の知り合いの。

 あの。 近況とか。」

「これに もう 返事しましたか?」

「えっ? だっていまさらって感じだし。

 それに 女は メールの返信遅らせた方がいい的な。

 そういうの あるでしょ?」

「そうなんですか?」

「えっ? あの。 ほら。 雑誌とかによく あるじゃない。 その。

 あの。 モテテク。モテテク的な。

 ああ。 私が 別に モテたいとかそういうことじゃないんだけどね。」

「でも 私は 返したいときにすぐ 返しますよ。

 返事が遅れて喜ぶ人は いないだろうし。」

「あっ。あっ。 紗絵子さんだったらこれ 何て 返します?」

「「くわしく 話すね。 ハート。ゴハン 行こ!」

「いつ 空いてる?」って返します。」

『その選択肢 なかったわ』

「あっ。 でも会いたくない人だったら。」

「無視ですよね?」

「「くわしく 話すね。 ハート」でやりとり 終了かな。」

『ハート 必要か?』

「会いたくない人にまで優しいんですね。」

「だって この人が いつか

 会いたい人に変わるかもしれないし。

 薫子さんは この人と仲良くなりたいですか?」

「うーん。 どうかな?」

「この人に 好きになってもらいたいですか?」

「うーん。でも あれですよ。

 好きになってもらうために

 何かしなきゃいけないんだったら

 好きになってもらわなく て結構っていうか。」

「うわー。 上から目線。薫子さん カッコイイ。」

『嫌みか』

「まあ 確かに 何にもしないで 向こうが勝手に

 好きになってくれれば それが 一番ですよね。 フフッ。」

「ああ。」

「でも 普通 そんなこと ないんです。」

「えっ?」

「だって お菓子だって 味がおいしいだけで 十分なのに

 それでも 売るためには 形や 色を かわいくしたり

 愛される 努力が必要なんだなって思うし。

 意識的にでも 無意識的にでも 人の気を引く 努力を

 してる人が好かれてるんだと思うんですよね。」

『至極 まっとうだわ』

「そうですね。 でもこの人に 好かれたいかどうかは

 あんまりぴんと こないっていうか。

 まあ 好きな人は 他にいるし。」

「えっ?」

「えっ? あっ。 いや。

 好きっていうか。 その。私が 勝手に思ってるだけで

 別に 可能性のない相手なんだけど。 うん。」

「ふーん。 そっか。うーん。 でも 誰からにしろ

 好きになってもらえるってすごく うれしくないですか?

 それに この人だって

 薫子さんのことを好きになってくれたら

 メールの返事が 早くなったりとか

 色々 変わってくるだろうし。

 そうなったら 薫子さんも

 この人のこと好きになるかもしれない。」

「ああ。 そうですね。」

「うん。」

「うん? えっ?」

『好きにさせて 好きになってくれたら

 好きになるのか?

 あれ? 今 何か

 エポックメーキングな 理論を聞いた気がするぞ』

「それに 他の人を好きになってみることで

 結果的に 本命とうまくいくってことも ありますよ。」

「うん?」

「登山ですよ 登山。

 いつか 目標の山に登山 成功するためには

 他の山にも 登ってみる必要が あったりもするでしょう?」

『うーん。 うん!』

目標は爽太w

「はあー。」

『何だろう?さっきから この人

 すごく 頭のいい人に見えるぞ

 確かに お菓子は一生懸命 飾ったり

 お客さんにお薦めアピールしたり するよ

 だって そうしなきゃ売れないし 人気 出ないし

 えっ? それと 一緒なの?人間は お菓子?

 私が 全然 売れないのは

 当たり前の 努力をしてないせいなの?

 それで 興味 持ってくれないお客さんに

  分かってないとか怒って

 いらついてる方が 間違ってるってこと?

 えっ? 私が 悪かったの?

 この女が 正しかったのか?

 そんな バカな

 でも 少なくとも この女は

 私よりは 確実に 前や上を 向いてる人だわ』

「薫子さん。せっかくの縁ですからこの人を。

 うーん。

 関谷さんを 落としましょう。」

「分かりました。」

「うん。」

「じゃあ まずはメールを 返しましょう。」

「メールを 返す。」

「う」
 
「ゴハン 食べに行きましょう」

「ハート。」

「ハート。うん。 ばっちりです。

 ウフッ。」

爽太にはエアメールが。

「あっ。」

「どうしたの?」

「あっ。 ボネールシェフから 手紙が。」

「へえー。 ああ。今度 ロックハートホテルに

 ボネールの 期間限定サロンができるんだってね。」

「それで 日本に来るから会って 話でも しようって。」

「やっぱり噂は 本当なのかな?」

「噂?」

「父さんから 聞いたんだけどね。

 ボネール 本店のシェフショコラティエが

 辞めることになったんだって。」

「えっ?」

「それで 代わりを 探してるって。

 話って そのことなんじゃない?」

「そのことって?」

「だから爽太も チーフの候補ってことだよ。

 爽太は すごく気に入られてたし。

 日本に帰るときも散々 引き留められてたもんね。

 すごいな。そうなったら 大抜てきだね。」

「いや。 俺にはショコラ・ヴィが あるから。」

「何 言ってんの?ボネールの チーフだよ?

 絶対に 受けるべきだよ。ねっ? すっごいなぁ。」

夜、紗絵子さんにもその話をしました。

「えっ? どうしよう?爽太君が

 ボネールの シェフショコラティエなんて夢みたい。」

「いや。まだ 決まったわけじゃないよ。」

「大丈夫だよ。爽太君が 選ばれるよ。

 私 応援してるから 頑張ってね。フフッ。」

「 うん。」

「あっ。 でもそうなったら 爽太君パリ 行っちゃうんだね。」

「一緒に 行こう。」

「えっ?」

「紗絵子さん。俺と一緒に パリで 暮らそう。」

「爽太君。」

ノイズ音がきこえ映像がゆがみました。

『うん?何だ? 今の。

 これで紗絵子さんとの未来を

 切り開くことができるかもしれない

 何としても このチャンスを物にするんだ

 ボネールのシェフショコラティエになって

 紗絵子さんを 連れてパリへ 行くんだ』


関谷さんとあう薫子さん。

「何か 急展開で濃いっすね。いいな。

 ショコラ・ヴィさんとこ 面白そう。」

「はあ?どこが 面白い…。」

紗絵子さんのアドバイスを思い出す!

《悪口やネガティブ発言ばっかりにならないように

 気を付けてくださいね》

「えーっと。 そうですね。

 面白いっちゃ 面白いかなぁ?フフッ。」

「うちの店に 六道さんの彼氏が逃げ込んできたらって

 想像したら ウケますも ん。」

『ウケるとか そういう感覚か。軽っ』

「忙しいのに ちゃんと恋愛してんのが すごいっすよ。

 小動さんは。優秀な クリエーターはそういう 恋愛とか。

 心を羽ばたかせることを忘れないっすもんね。」

《とにかく 関谷さんを楽しませてあげましょう》

《励ましたり 褒めたりすんのが効果的ですよ》

「ああ。 関谷君も 優秀なクリエーターじゃないですか。」

「ああ。 でも 俺 恋愛とかあんまり 興味ないから。」

「えっ?えっ? そうなの?」

「元カノとか あれっすよ。夜 うちで。

 まあ そのう。 終わった後に俺が ベッドの中で

 携帯ゲーム やりだしたらめちゃくちゃ 怒られたんすよ。」

「そりゃ 怒るでしょ。」

『褒められない。励ませない』

「まあ 小動さんにせよ 六道さんにせよ

 何がしたくて 何が欲しくて何が そのために 必要とか

 自分の頭で がんがんビジョン 描いて

 動いていける人たちですよね。

 俺は そういうタイプにはなれないなって思います。」

「ああ。私も そうかも。

 ショコラ・ヴィを立ち上げたころは

 爽太君も 色々手探り状態だったから

 私も ばしばし 注文 付けたり仕切ったりしてたけど。

 あれから 爽太君はどんどん しっかりしちゃって。

 アイデアは さえてるし決断は 早いし 読みは 当たるし。

 ウフフ。 今は もう私ごときが 何か 言うなんて

 おこがましいっていうか。

 私が 何も変わらずにただ 見てた間に

 爽太君は ものすごい 勢いで進化しちゃったんだなぁ。」

「フッ。」

「うん?」

「相変わらず小動さんの話ばっかりっすね。」

『バ… バカ。 爽太君のこと褒めて どうすんのよ?』

「フフッ。 ウフフ。フフッ。」

帰ることに。

「あっ。 じゃあ 私は ここで。」

「ああ。」

《別れ際は 「今日は もうすっごく 楽しかったです」》

《「また 誘ってくださいね」》

「今日は 楽しかったです。」

「はい。」

「また…。」

《「また 誘ってくださいね」》

「また…。

 またたび。」

wwwww

「えっ?」

「あっ。 あっ。 うちの猫にマタタビ 買ってかなきゃ。

 どっか 売ってないかなぁ?ウフッ。 ウフフ。 うーん。

 う… 売ってないか。フフッ。」

「今日はありがとうございました。」

「あっ。 こちらこそありがとうございました。」

「じゃあ。」

「ハァー。」

「ああ。 待って!

 あの。

 関谷君は。 その。結構 忙しいですよね?」

「えっ?いや。 そうでもないっすよ。ホワイトデーも 終わったし。」

「ああ。 そうですよね。あっ。 じゃあ これからは

  お互い結構 時間に 余裕 ありますよね。」

「そうっすね。」

「ウフッ。」

「じゃあ。」

「えっ? じゃあ。」

『ああ。 何やってんだろ?もう バカみたい

 別に 私は 関谷君のことなんかどうでも よかったのに』

「カードを お確かめください」

「あっ。 すいません。」

『そうよ。しょせん 30 過ぎた地味な女が

  何やったって無駄なのよ

 そんなの 分かってんのに柄にもないこと するから

 こんな 最低な気分になんのよ

 ああ。 やだ やだ。それも これも 全部…』

「ウフッ。」

『あの女のせいだ』

それはやつあたり。

ショコラヴィ
まつりに誘われました。

「薫子さん。」

「うん?」

「今日 お店 終わったらうち 来ません?

 あの。 お父さんの友達が カニをたくさん

 送ってきてくれたから一緒に 食べましょうって。」

「カニ?」

「うん。薫子さん 好きだったでしょ?」

「うん。 行きたい 行きたい。食べたい。」

「よかった。 あっ。紗絵子さんも 誘いましたから。」

「えっ?」

小動家に集まったみんな。

「おかえりなさい。」

「ただいま。」

紗絵子さんも出迎えてくれました。

「皆さん お仕事 お疲れさまでした。さあ どうぞ どうぞ。

入って 入って。 ウフフ。」

「はーい。」

『あんたの うちかよ?』

「うわー。 すっごい。」

「ああ。 おいしそう。」

「ホントだ。 すげえ。」

「いやー。 紗絵子ちゃんが先に来て 手伝ってくれたから

 助かっちゃったよ。」

「いえいえ。 私なんて大したこと やってませんから。」

「とんでもない。もうね ホントに もう手際がいいんだ

 紗絵子ちゃんは。

 それに めっちゃくちゃ料理が 上手なんだよ。」

「えー? そんな。 お父さまのがお上手じゃないですか。」

『お父さまって』

「何か 照れちゃうな。」

『喜ぶな』

「あっ。 そうだ。 忘れてた。」

「あっ。」

「うん? 何だろう?」

「蓬莱山。お父さま お好きなんですよね?

 まつりちゃんから 聞きましたよ。」

「ああ。

紗絵子ちゃんはホントに 気が利くなぁ。」

『こ… こいつ』

「開けよう 開けよう。」

「さすが 紗絵子さんだね。」

「ねっ? あっ。紗絵子さん。 私も 手伝います。」

「ありがとう。」

「僕も。」

「よいしょ よいしょ。よいしょ よいしょ。」

「うーん。うーん。」

「やっぱ 北海道の カニは違いますね。」

「旧友の 若松ってやつが旅先から 送ってきてくれたんだよ。」

「うーん。あっ。 そういえば2人が 京都 行くってやつ

 あれ どうなった?」

「えっ? ああ。 いや。 それは。」

「うん? 京都って?」

「実は まつりちゃんと 2人で行こうと 思ってるんです。」

「2人で?」

「京都って ショコラティエが増えてるんだよね?

 それ 見に行くんでしょ?」

と紗絵子さんがフォロー。

「あっ。 うん。」

「そうそう そうそう そう。」

「そうなの。評判になってる お店があるから

 ちょっと 気になっててさ。」

「京都にまで リサーチに行くなんて勉強熱心な 娘さんですねぇ。」

「ああ。 そうですね。」

「ねえ。」

「まつり。 頑張ってこいよ。」

「頑張る。

 ありがとう。」

「でも 2人 揃って 店 空けるって。ねえ? どうなんだろうね?」

「あっ。」

「あっ。 じゃあ 私まつりちゃんの 代わりにお店番 するよ。」

「えっ?」

「定休日 合わせたら1日だけで 済むし 大丈夫でしょ。」

「ホントに?」

「うん。」

「いいの?」

「もちろん。いつも お世話になってるもの。」

「紗絵子さん。 ありがとう。」

「ありがとう。」

「お土産の チョコ買ってくるからね。」

「やった。 楽しみ。

 あっ。 ハクサイ 足りないね。私 切ってくるね。」

「ああ。 紗絵子さん。

 紗絵子さんはホントに 気が利くね。」

「ウフフ。 いえいえ。」

「お父さま。」

「ああ。 薫子さんにも。」

「あっ。薫子さん。」

「うん?」

「うん? 飲む?」

「ああ。 まだ あるから いいよ。」

「大丈夫?」

「もっと 飲めよ。」

家庭的な紗絵子さんをみて爽太妄想。
ふたりの赤ちゃんをだっこしている爽太。

《おなか すいた?おなか すいたのか?》
《ママ。ご飯 まだ?》

《はーい。 遅くなって ごめんね。はい。 できましたよ》

でもまたノイズが。

『まただ』

「うん。 大丈夫。」

「するめばっかり 食べてる。」

紗絵子さんをおくっていく爽太。

「食べ過ぎちゃったなぁ。楽しかったね。

 爽太君の おうちってあったかくて いいね。」

「そう?」

「うん。 みんな 仲良くてすっごく すてき。」

「よかったら いつでも 来てよ。父さんも 喜ぶからさ。」

「ホント? ウフッ。うれしい。 ありがとう。」

オリヴィエの言葉を思い出す爽太。

《ボネールのチーフだよ?》《絶対に 受けるべきだよ》

「紗絵子さん。」

「うん。」

「ああ。いや。 いいや。」

「えっ? 何?」

「何でもない。」

「えー?」

『紗絵子さんを 連れてパリへ 行くんだ』

爽太はボネールの店へ。

「お待たせいたしました。」
 
「ありがとうございました。」

「いらっしゃいませ。」

「すみません。」

「はい。」

「小動と申しますが ボネールシェフ いらっしゃいますか?」

「お待ちしておりました。

 こちらへ どうぞ。」

ボネールと面会。

「そうですか。日本にも噂は届いていましたか」

「はい」

「そうなんです。実は君を新しいシェフ候補のひとりとして

 考えているんですが やってみる気はありますか」

「はい もちろんです」

「では ここの仕事が終わったら 改めて会いましょう

 その時に今の君が作る
 
 最高のショコラを食べさせてください」

「わかりました」

帰り道、街にえれなの言っていたショーの
ポスターがはってありました。

《ノエル・マリアンのショーに 出ることになったんだ》
《よかったら 見に来てよ》

《紗絵子さんのことはもう 終わってるんだよ》
《えれな。 俺的にはどうするか 決めてるからさ》

えれなは六道さんといっしょにいました。

「よかったわね。 えれな。

 念願のショーに 出演が決まったお祝いに
 私からの プレゼント。」

すごくきれいなケーキ。

「すごーい!

 いやー。バラのケーキ 美し過ぎる。」

「これは えれなのことをイメージして 作った

 三位一体の ケーキなの。

 美しい体。 美しい心。そして 美しい人生って。

 こっち いくかと思ったらこっち いっちゃった。」

「ハハハ。」

「何?」

「イリュージョン。」

「ハハハ。

 何? それ。 りくちゃん。」

「とにかくその3つを 生まれ持っているのが

 あなたなのよ。」

「ウフフ。あっ。 この とげとげも いいね。リクドーっぽいよ。」

「これはね もっととがってもいいのよっていう

 私からの メッセージ。
 あんたは いっつも我慢して

 いい子でいるところがあるからね。

 まあ もちろん それは とっても立派なことなんだけど。

 でもね もし あなたを傷つけるものがあれば

 戦っていいのよ。弱気になって戦う勇気が 出ないときは

 このケーキを 思い出して。諦めちゃう前にね。」

「ウフッ。 ありがと。」

紗絵子さんと爽太。

「うーん。 おいしい。ボネールの チョコ 最強。 世界一。

 あっ。 あっ。 でも 爽太君のチョコは 別格だからね。

 他のもんと比べるもんじゃないから。」

「フッ。 俺も ボネールのチョコは すごいと思うよ。」

「うん。ねえ? サロン どうだった?

 お客さんいっぱいだったでしょ?」

「うん。 行列 できてた。」

「うわー。 そっか。 やっぱりね。

 ねえ? ボネールさんにも会ってきたの?」

「うん。」

「うわー。」

「挨拶だけね。」

「へえー。」

「忙しそうだったから。それよりさ 紗絵子さん。

 ボネールの チョコの魅力って何だと思う?」

「魅力?」

「うん。 教えて。」

「ウフフ。うーん。 そうだなぁ。

 いや。 クラシックなんだけど全然 古めかしい 感じがしなくて。

 シンプルで 洗練されてて甘さが 控えめですごく 上品な感じ。」

「うん。 それから?」

「あっ。 ガナッシュの 軟らかさが絶妙なの。

 後ね このコーティングもものすっごく 薄くて…。」

『今 目の前にいる紗絵子さんだけを 信じるなら

 俺のことを 好きなんだって思ってしまう

 でも…

 確かめなきゃ。紗絵子さんの顔色 見て

 何 言うのか待ってるばっかじゃなくて

 俺が 前に進めていかなきゃ

 ボネールのシェフショコラティエになって

 紗絵子さんと 2人でパリへ 行って

 それから

 それから』

オリヴィエと爽太。

「どう? ボネールに渡すショコラは 完成した?」

「いや。 まだ。 何かどうも 決め手に欠けててさ。」

「大丈夫なの?」

「まあ 何とかなるよ。

 ほら。 いつも ぎりぎりでインスピレーション 湧くから。

 大丈夫。」

まつりもやってきました。

「ごめんね。お待たせ。」

「じゃあ 行ってくるね。悪いね。 爽太。」

「ううん。 楽しんできてよ。」

「京都の ショコラティエのレベルがどんなもんか

  探ってくるからね。」

「はいはい。 いってらっしゃい。」

「いってきます。」

「いってきます。」

「ということで 今日 1日だけ紗絵子さんが ヘルプで 入るから。

 よろしく お願いします。」

「はい。」

『何で 私が あの女と一緒に働かなきゃいけないわけ?

 冗談じゃない。大して 役にも立たないのに

 うろちょろされちゃたまんないって

 もう ホント とっとと出てってくんないかなぁ』

紗絵子さん登場。

「おはようございまーす。

 今日は よろしく お願いします。」

『カ… カワイイ』

「カワイイ。

 紗絵子さん。ものすごく 似合ってるよ。」

「そう? これね 1回着てみたかったんだ。 ウフフ。

 あっ。 薫子さん。 薫子さん。

 一緒に 写真 撮りましょう。」

『えっ? おんなじ制服だよね?

 何で こんな 違うの?えっ? 何で?

 えっ? 何で? 何で?えっ? 赤い リボン


 えっ? 色が違う?うん? 何で? 何で?

 あれ? ちょっと 顔色が』

接客をする紗絵子さん。

「すいません。」

「はい。」

「これって 何が入ってるんですか?」

「これは レモンピューレとレモンの皮が 入ってるんです。
 
 風味が すごく いいですよ。」

「じゃあ これは?」

「これはコーヒー風味の チョコレートと

 ミルクチョコレートをブレンドした…。」

『しかも なかなか…』

「どうも ありがとうございました。」

『使える』

「また いらしてくださいね。」

「どうも。」

「薫子さん!お仕事って いいですね!」

「そう?」

「大好きな チョコレート屋さんで働けるなんて 夢みたい。

 もう このまま 就職しちゃいたい。

 フフフ。ウフフ。」

紗絵子さんと爽太。

「これから 軽井沢まで 行くの?」

「うん。ボネールが そこで休暇を 過ごすんだって。

 ちょっと 届け物 あるからホテルまで 行ってくるよ。」

「そっか。 気を付けてね。」

「うん。先 寝ててね。」

「うん。

 じゃあね。いってらっしゃい。」

『きっと うまくいく。いや。 いかせるんだ

 新しい 一歩を…

 踏み出すんだ』

京都にいるまつりとオリヴィエ。

「紗絵子さんと 薫子さんうまくやってるかな?」

「うん。」

「フフッ。お土産喜んでくれるといいね。

 紗絵子さんの好みもっと 詳しく…。」

後ろからまつりをだきしめるオリヴィエ。

「まつりちゃん 緊張してる?」

「してないよ。」

「僕は ちょっと してる。」

「どうして?」

「好きだから。」

「フフッ。 私も 好きだよ。でもね…。」

オリヴィエのほうを向くまつり。

「緊張しない 好きもあるんだよ。」

「フッ。」

「ウフフ。」

そのまま布団にたおれこむふたり。

家にいる薫子さんに電話。

「よいしょ。 うん。うん?

 はい。 もしもし?」

「薫子さん? 紗絵子です。」

「えっ? 何?えっ? どうしたんですか?」

「あの。 実はお店が 停電しちゃったんです。」

「停電?」

「はい。 それで冷蔵庫のこととか 気になって。」

「えっと。 爽太君は?」

「ボネールさんに 会いに軽井沢に 向かってて

 今 いないんです。」

タクシーでお店にきた薫子さん。

「ああ。 やっぱり この辺 一帯が停電してるみたいですね。」

「チョコ 溶けちゃったらどうしましょう?」

「冷蔵庫は なるべく開けない方がいいんだけど。

 生クリームと 冷蔵ピューレだけ出して 氷水に つけておきます。」

「あっ。 ボウルですね ボウル。」

「ああ。ボウルじゃ 間に合わないから

 バケツ 取ってきてもらえます?」

「はい。

 はい。 持ってきました。」

「ありがとう。

 じゃあ 紗絵子さんは 保冷剤をショーケースに 入れてください。

 なるべく 素早く お願いします。」

「はい。」

ふたりで作業。

「よし。」

「ああ。 」

「どう?こんな感じですかね?」

「ああ。 うん。これで 大丈夫だと思う。

後は 温度計をマメに チェックして対応を 考えましょう。」

「はい。」

「うん。」

「ハァー。」

キャンドルをともしてふたりっきり。

「ふうー。」

『よりによって この女と二人きり。 勘弁してよ』

「あっ。」

「えっ?」

「あれから 関谷さんとどうなりました? フフフ。」

「ああ。」

『それ 聞くか』

「お食事 行きました?」

「ああ。 行きましたよ。」

「どうでした?楽しかったですか?」

「まあ それなりにね。ウフフ。

 向こうも 前より色々 しゃべってくれたし。」

「よかったですね。」

「うーん。 」

「フフッ。次の約束 しました?」

「うーん。 別に。

 うーん。向こうも 何も言わなかったし。」

「じゃあ 次はタイミング 見て

 薫子さんから連絡するって 感じですかねぇ。」

「紗絵子さんはやだなぁとか 思わないんですか?」

「何がですか?」

「自分から 誘うの。」

「でも どっちかから誘わなきゃ 始まらないし。」

「でも 向こうから言わないってことは

 別に行きたくないってことでしょ?」

「えっ? でも 薫子さんも向こうから 誘われたら

 別に 行っても 構わないなって思うでしょ?」

「ああ。うん。

 まあ。

 まあ 正直 男から 誘えよって思ってるんですよ。」

「ああ。」

「そうしてくれない 男なら最初から いらんわって

 思ってるわけですよ。 」
「ウフフ。」

「でも。 ねえ?世の中の 男の方からしたら

 こっちこそ いらんわって感じだよね。

 フッ。 私 ホント上から目線なんだよね。

 関谷君のことがあって自分は 受け身で

 ぜいたくな 人間なんだなってよーく 分かりました。

 それだけでも収穫は 十分かも。 うん。

 ハァー。」

電気が復旧。

「あっ。 ついた。ああ。 ハァー。」

「ウフフ。ウフッ。」

『しまった。何 言っちゃってんの? 私

 何で この女 相手に本音トークとかしちゃってんのよ?』

「ああ。 あっ。 よかった。思ったより 早く 復旧して。

 ねえ?ねえ?」

「あっ。 あっ。えっ?

 じゃあ 私 これ 片付けたら帰るから。」

そのときドアをたたく音が。

「うん?」

吉岡さんでした!
まるでホラーのような恐ろしさ!

「紗絵子 いますよね?」

「えっ?」

「おい。 紗絵子。 帰るぞ。」

「ああ。 あのう。」

「失礼。」

「いやいや。 ちょっ ちょっ ちょっ。

 ちょっ。 ちょっと 待ってください。」

「いるのは 分かってるんです。

 うちの ライターが 昼間 ここで紗絵子を 見たそうですから。」

「それは…。」

紗絵子さんが出てきました。

「紗絵子。」

「待って。 話を聞いて。」

「話なら 家で聞くよ。」

「嫌。 今は 帰りたくないの!」

「バカ 言うな。

 忙しいんだから 面倒 かけんなよ。」

「待って。 放して!」

「こんなとこに 隠れやがって。ほら。 行くぞ!」

「嫌だってば!

 い… 今 帰ったって何も変わらないもん。

 あなたは いつだって頭ごなしに 怒って

 私の話 何も聞いてくれないじゃない。

 だから 私 家を出てったんだよ?」

「うるさい!いいから 帰るんだよ。」

「ちょっと やめて。

 やめてください!

 嫌がってるじゃないですか。その手 放してください。」

「何なんだ? 君は。君には 関係ないだろ!」

「関係なくありません!

 私は 紗絵子さんの 友達です!

 彼女には 彼女なりの考えがあって家を出てきたんです。

 それをろくに 聞こうともせず

 嫌がってるのを無理やり 連れて帰るなんて

 友達として過ごすわけにはいきません。

 彼女を置いて今すぐ 出てってください。」

「ほら。」

「痛い。」

「もし これ以上乱暴な まねをするなら警察を 呼びます。」

帰っていく吉岡さん。

「ちょっ。ハァ。 ハァ。」

「だ… 大丈夫?」

「はい。」

ボネールにあいにいった爽太。

「どうぞ」

「メルシー。」

紗絵子さんと薫子さん。

「薫子さん。」

「うん?」

薫子さんの手をにぎる紗絵子さん。

「ありがとう。」

「あ…。 うん。」

「ありがと。」

ボネールにチョコを食べてもらう爽太。

「爽太。」

「ウィ。」

「残念です」

「えっ?」

爽太、ショックをうけて紗絵子のところへ
帰ってきました。

「このチョコレートからは 君のビジョンが感じられません」

 
「おかえりなさい。」


「あの頃ほとばしっていた君の情熱は

 一体どこへ行ってしまったんですか?」


紗絵子さんを後ろから抱き締めるようにしている爽太。

「爽太君。何か あった?」

「いや。

 ボネールと会って 話をして。それだけ。」

「そっか。」

「紗絵子さんは?どうしてた?」

「うん。

停電があって。でも すぐ 戻って。

 それだけ。」

「そっか。」

『開きかけた 未来への扉が

 あまりにも あっけなく閉ざされてしまった

 でも 本当は 分かっていた

 扉なんて初めから なかったんだ

 自分が どこへ行こうとしていたのか

 それも もうよく 分からない』

ショコラヴィ 仕事中も爽太は上の空。

「あっ。 爽太君。

焼き菓子セットのギフト用の リボン。

 今のが 終わったらアイボリーに 変更するね。」

「うん。うん。」

「あっ。 オリヴィエ。京都の チョコレートおいしかったよ。」

「ホント?」

「うん。」

「よかった。」

「でも あれだね。

 キャラメルオランジュはうちの方が おいしいね。」

「そうだよね。 僕も そう思った。」

「ねえ?」

「でも 伏見とうがらしのガナッシュは

 今までにない 感じだったよね。」

「ああ。 あれね。
 
 ああいう 変わり種なんかうちにも 欲しいね。」

爽太にみえる紗絵子さんの幻影。

「爽太君。

私は 別に パリになんか行けなくったっていいんだよ。

 ここで 爽太君と一緒にいられれば…。

 それで いいの。」

またノイズ。

『気付けば もう ずっと想像も 妄想も広げられずにいる

 ショコラのインスピレーションもまったく 湧いてこない

 何でだろう?

 どうして?どうして 未来に何も 思い描けないんだろう?』

産婦人科を受診していた紗絵子さん。

「では また1カ月後に いらしてください。」

「はい。」

「お大事に。」

おなかに手をあてる紗絵子さん。




紗絵子さん、まさかの妊娠中?
吉岡さんの子だろうけど
それで爽太のところにずっといて
いっしょに寝てるとかすごいな。
あんな怖い旦那のもとにかえって
うまくやっていけるの?
あんなに恋愛教祖様のようなのに
結婚相手を選ぶのは失敗してる・・。

爽太は爽太でいままでさんざん夢見てた紗絵子さんと
いっしょにいたらインスピレーションがわいてこないとは
もう妄想する必要もないから?
それとも本当はえれなのことが心の中にあって
紗絵子さんとの未来のビジョンが描けないから?
どちらにしても紗絵子さんと結ばれたら
ショコラヴィティエとしての爽太はおしまいか。

まつりとオリヴィエは順調でこのふたりは
このままうまくいってほしい。
あとやっぱりえれなと爽太が一番ぴったりだと思うんだけど
最終回どうなるのか楽しみです。







小動爽太 松本潤 
高橋紗絵子  石原さとみ 
井上薫子    水川あさみ 
加藤えれな   水原希子 
オリヴィエ・トレルイエ  溝端淳平 
小動まつり   有村架純 
関谷宏彰    加藤シゲアキ(NEWS) 
六道誠之助   佐藤隆太 
小動 誠  竹中直人





2014.03.18 Tuesday 10:04 | comments(0) | trackbacks(5) | 
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